翌日の午前中、再びアルカパから食料と物資が届けられた。昨日から来ていた男達と交代するために、非番だった若い守衛達と数人の男達がやってきた。 キメラの翼の手持ちが切れてしまったので、街に戻る男達はけが人を乗せた馬車の周りを歩いていた。 ビアンカは、ダンカンの隣を、男達に遅れないよう一生懸命歩いていた。 「ビアンカちゃん、おんぶしようか?」 ディークがみかねて声を掛ける。しかしビアンカはだまって首を振った。 「警戒されてるぞ、ディーク!」 「ビアンカちゃん、危な〜い!」 また男達にやじられて、ディークは顔を赤くしながら「だから、そんなんじゃないっす!」と言った。 ビアンカは、なんでみんなが騒いでいるのかわからなかったが、息を切らせながら、申し訳なさそうに言った。 「ありがとう、でも、あるくって、父さんと、約束、したから。」 酒場の主人が、後ろからひょいとビアンカを抱き上げると、馬車の荷台の後ろに乗せた。 「その心がけは立派だが、ちっちゃいのにあれだけ働いたんだ。ちょっとくらい馬車に乗ってもバチはあたらないよ」 ビアンカはダンカンを見たが、ダンカンがにこにこして頷いたので、「ありがとう」と言って落ちないように座り直した。 森の向こうにサンタローズから上がる煙が見える。リュカのお家の残りも燃やしているのかな・・・ビアンカの小さな胸はいっぱいになり、空色の瞳に涙が浮かんだ。ビアンカはそれがこぼれ落ちないように一生懸命目を大きく開いた。それでも馬車ががたんと揺れると、涙がぽろぽろとこぼれ落ちてしまう。泣かないって約束したのに。 「ビアンカ」 ダンカンが声をかけ、ビアンカを抱き上げようとした。しかし、「一緒にに座ってやりなよ」と言われ、ダンカンは躊躇したが、馬車に飛び乗ると、ビアンカを膝に乗せた。 ビアンカはダンカンにしがみつき、涙をこぼしながらもなかないように一生懸命がまんし、男達は黙って家路を急いだ。 |
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